小銭の出し入れのしやすさが人気の「現金派の財布」をコンセプトにした
革財布ブランド「palace.und(パレスアンド)」。
創設者の宮下氏から新オーナーとして
このユニークなブランドを引き継ぐことになったのは、
薬剤師として働く徳野翔太・綾香さんご夫妻でした。
ブランドとの出会いから引き継ぎに至った想い、
そして商品の魅力についてお話を聞きました。

「現金派」としての運命的な出会い
――まず、palace.undとの出会いのきっかけから教えてください。そして、どのようにしてブランドを引き継ぐことになったのでしょうか。
綾香さん: 実は私自身が現金派なんです。
キャッシュレス時代ではあるんですが、
いざという時に現金がなくて困るということもありますよね。
そんな時に「現金派の財布」というコンセプトを知り、これは運命的だと感じました。
――それまでは、どんなお財布を使っていたのですか?
綾香さん: それまでは長財布を持ったことがなくて、
折りたたみ式の二つ折り財布を何十年と使っていました。
ちょうどそのお財布がボロボロになってきて、新しいものを探していたんですが、
革が硬くて使いづらそうなものが多くて…。
なかなか良いものに出会えず、財布難民になっていました(汗)。
そんなタイミングに、主人が「こういうのあるよ」と教えてくれたんです。
翔太さん: palace.undのことは事業譲渡の件で知りました。
ちょうど妻が財布を探していたので、本当に必要としていた時に出会えたのは、
ある意味、とてもドラマチックなご縁でした。

「ニッチ」なコンセプトと構造に魅了されて
――palace.undのお財布を初めて見た時の印象は?
綾香さん: 「ニッチなところを攻めてるな〜!」と思いましたね。
このキャッシュレス時代にあえて「現金派」に特化している点が、
とても珍しく感じられました。そこに希少性や興味を引かれましたね。
――商品自体の構造についても、特徴的ですよね。
綾香さん: そうなんです。
私は小銭入れが分かれていないと使いにくいというタイプなのですが、
この構造を知って、ぜひ使いたいと思ったんです。
デザインだけでなくその機能性に惚れ込んで、欲しいと思いました。

ブランド引き継ぎへのプレッシャーとワクワク感
――実際にブランドを引き継ごうと決意した時の心境を教えていただけますか。
翔太さん: やはり前任の宮下さんが発信されていたブランドなので、
オーナーが変わってうまく引き継いでいけるかというプレッシャーがありました。
また、前オーナーの宮下さんはお客さまとの対話をとても大切にされていた印象があって、
その関係性を引き継げるのかという不安がありました。
ただ、お客さまの小さな声を拾って商品づくりに反映できることに、大きなワクワクを感じました。

――ものづくりに携わりたいという思いは、palace.undと出会う前からあったのでしょうか。
翔太さん: はい。実は学生の頃から何か作りたいなという思いはずっとありました。
物販などもやったことがあるのですが、ブランドを作るというところまでは、なかなか踏み出せず…。
お客さまの声を商品にしてみたい気持ちはあったものの、
社会人になって、一から始めるのは難しい状況でした。
そんな中、今回palace.undを引き継ぐという機会を得て、
頑張ってみようという気持ちになりました。

――ずっと心の中にあった「ものづくりへの思い」が、ようやくスタートラインに立ったという感じですね。
翔太さん: はい、まさしく。
そして、お客さまとこんなに距離の近いブランドはなかなかないなと思いました。
製品としての魅力はもちろんですが、お客さまの声が製品に反映されて、
一緒にブランドを育てていくという世界観に、私たちも強く共感しています。

代表作「coinde2.0」のここがスキ!
――では、palace.undのアイテムの中で、「これいいな」というものを挙げるなら?
綾香さん: やはり、主力商品の「coinde2.0」ですね。
小銭入れが3つに仕切られているのが、本当に便利なんです。

たとえばレジで端数の80円を出したいと思った時に、
「あと10円1枚あるかな…ないかな?」と探さなくてもいい。
その小さなストレスを解消してくれる小銭入れの部分が、
この財布の最大の特徴であり、推しポイントだと思います!

翔太さん: coinde2.0と同じモストロレザーを使った
「ふかふかカードケース」も好きですね。
手触りが本当に心地よくて驚きます。
カードケースとお財布の色がリンクしているから、お揃いで持てるのもいいですよね。

――では逆に、忖度なしで「もう少しここがこうだったらな〜」なんてポイントはありますか?
綾香さん: 例えば、ファスナーがフルオープンになるといいな、とか。
L字になっているだけでもすごく見やすいんですが、
さらに大きく開けるようになったら、もっと使いやすくなると思います。

翔太さん: カラーバリエーションについてももう少し増やしたいですね。
「ブルー系が少ない」「シルバーはないんですか」というお声もあります。
人気があるのはグリーンですが、赤も「気に入っています」という
コメントをいただくなど、好きな人に刺さる色もあります。
さらに多くの色展開ができるよう、お客さまの声を大事にしていきたいです。

作り手の「革への愛」を実感
――前オーナーの宮下さん、そして革職人さんともお会いされたとのことですが、その中で印象に残っていることはありますか?
綾香さん: 宮下さん、職人さん共に、
革に対する知識の深さや、愛情を強く感じました。
注文したらすぐ1ヶ月ぐらいで届くのかなと思っていたんですが、
実際はもっと時間がかかって、
それだけ手間暇かけて作っていただいているのが体感できました。

翔太さん: palace.undは「革への愛」が全面に出ているブランドだな
と思っていましたが、実際に作り手の皆さんとお話しする中で、
それをより強く感じることができましたね。


【後編に続く】
徳野オーナーご夫妻の運命的な出会いと、
ブランド引き継ぎへの熱い想いが伝わってきた前編。
後編では、「現金派の財布」というコンセプトの価値、
そしてお客さまの「小さな声」を大切にしながら、
これからpalace.undをどのように育てていきたいのか、
具体的なビジョンや企画についてお伺いします!